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CMOSイメージセンサーとは

CMOSイメージセンサーは、入射光をデジタル画像に変換するように設計された相補型金属酸化膜半導体(CMOS)技術を備えた半導体素子です。多くのデジタルカメラと同様に、半導体チップの表面にある数千の光子検出器で入射光を検出します。各検出器は、光子のエネルギーを電流に変換することで吸収される光子の周波数(色)と数(明るさ)を測定します。その電流は、各検出器に取り付けられたトランジスタによって増幅されます。このタイプのイメージセンサーは、「アクティブピクセルセンサー」(APS)と呼ばれます。

CMOSイメージセンサーは標準的な半導体製造技術で製造されるため、チップには、一般的には信号処理機能、アナログ-デジタルコンバータ、デジタルロジックオンチップが含まれています。これにより、チップ上に完全なカメラ機能が搭載されます。このテクノロジーによって、スマートフォンの小型デジタルカメラ、高解像度かつ高速の業務用ビデオカメラ、衛星の地球観測センサーなど、多くの画像処理アプリケーションが実現されます。

CMOSおよびCCDイメージセンサー

イメージセンサーの2つの主流テクノロジーとして知られる電荷結合素子(CCD)センサーとCMOSセンサーは、1960年代後半に開発されました。どちらも光の粒子[1]である光子が原子内に吸収され、原子内の電子にエネルギーを与えるときに発生する光電効果を利用します。

十分なエネルギーが吸収されると、原子は電子を放出し、半導体物質内に負電荷が発生します。光を吸収して電子を生じさせるイメージセンサー領域は、「フォトダイオード」と呼ばれます。フォトダイオードは、その表面に集束された光の色と強度を測定できるアレイに配置されます。

CCDセンサーでは、フォトダイオードからの電子が一連のコンデンサで捕捉され、増幅されます。CMOSセンサーでは、電子はトランジスタに直接送られ、検出器で増幅されます。CCDアプローチの大きな利点は、コンデンサがフォトダイオードの背後にあるため、各ピクセルでより大きな光吸収面積が得られることです。CMOSセンサーのトランジスタはフォトダイオードの隣に配置され、「開口率」と呼ばれる残りの表面積の30%で光を検出します。

CMOS技術は、確立された半導体製造プロセスであるため、CMOSセンサーの製造コストはCCDカメラよりもはるかに低くなります。以前は、CCDセンサーは低ノイズで高品質の画像を生成することで採用されることが多く、CMOSセンサーは、より電力効率の高い、またはより低コストのソリューションが必要な場合に採用されていました。

半導体製造技術の向上により、CMOSイメージセンサーのピクセルサイズの縮小が可能になり、オンチップのデジタル信号処理によって品質の問題が解決されました。こうした改善により、低コストで優れたエネルギー効率という利点を維持しながら、CCDセンサーと同等の画質を実現しました。そのため、低消費電力で高解像度のCMOSイメージセンサーは、2010年代後半までには、多くのアプリケーションで優先的に選択されるようになりました。

現在、CCDデバイスは、主に画像天文学、マシンビジョンシステム、顕微鏡カメラなど、低ノイズで高感度を必要とするハイエンドアプリケーションで使用されています。一方で、CMOSイメージセンサーも、これらのアプリケーションで採用されることが増えつつあります。

CCDおよびCMOS技術の比較

 

CCD

CMOS

アプローチ

カスケードコンデンサ

トランジスタに接続されたフォトダイオード

検出器の信号タイプ

電子パケット

電圧

チップ出力

アナログ信号

デジタル

画質

中~高

電力消費量

中~高

コスト

大量生産の場合は低

速度

ダイナミックレンジ

量子効率

中~高

CMOSイメージセンサーのジオメトリ

CMOSイメージセンサーはピクセルの配列で構成されており、各ピクセルは4つの光検出器(赤×1、青×1、緑×2)によって捕捉されます。各ピクセルは2×2配列であり、フィルタリング対象は3色のみのため、1つの色が2回用いられます。緑色は、人間の目が最も敏感である周波数を有することから、2回使用される色として選択されています。この色の配置法は「ベイヤーフィルタパターン」と呼ばれ、奇数列では青-緑、偶数列では緑-赤が繰り返されます。

CMOS image sensor photodetectors

ベイヤーフィルタパターンで配置された2×2ピクセルの光検出器

各光検出器はシリコン基板上に実装され、光子を収集するフォトダイオードと、3つのトランジスタ(列セレクター、アンプ、リセットトランジスタ)が含まれています。光検出器の上には、カラーフィルタとフォトダイオードに光を集束させるマイクロレンズがあります。 

CMOS photodetector geometry

単一の光検出器のジオメトリ

各光検出器は、シリコン基板、井戸型ポテンシャル、入射光子を測定するフォトダイオードで構成されています。カラーフィルタとマイクロレンズは光を集束させ、フィルタリングし、トランジスタとバスは発生した電流を増幅して送ります。

この光検出器の配列は、レンズアセンブリの焦点曲面としてチップの中心に配置されます。この配列の周囲には、デジタル画像を構築して出力するために使用されるアナログ回路やデジタル回路が実装されます。

CMOSイメージセンサーの設計の検討事項

CMOSイメージセンサーは、原子レベルの物理特性からデバイスアセンブリへのパッケージングのための機械的要件までを扱う複雑なシステムです。新しいCMOSセンサーを設計するチームは、次のことを検討する必要があります。

フォトニック設計

CMOSセンサーの性能にとって、フォトダイオードの振る舞いは重要です。設計者は、光学効率、量子効率、暗電流、発生した電荷など、さまざまなフォトニクスパラメータを検討する必要があります。また、赤外線から可視光線、さらには紫外線まで、検出される光の波長も考慮する必要があります。

光学設計

CMOSイメージセンサーの精度と効率は、センサーアレイに投影される画質に依存します。光学エンジニアは、表面により平坦で明確な投影を提供する最適化されたレンズアセンブリを開発する必要があります。より正確なセンサー応答を得るには、レンズからセンサー表面への空間的に変化する垂直でない入射光の影響も考慮する必要があります。また、フォトダイオードにできるだけ多くの光を照射し、センサーへの入射光の影響を理解するために、各フォトセンサーの上にマイクロレンズを設計する必要があります。

アナログ回路とデジタル回路の設計

アクティブピクセルセンサーの利点の1つは、必要なアナログ回路およびデジタル回路をすべてセンサーと同じチップ上に集積回路として配置し、チップ上にカメラを作成するという概念です。回路設計者は、可能な限り小さなフォームファクターにできるだけ多くのピクセルを配置しながら、電力の問題、タイミング、シグナルインテグリティ、その他の検討事項を考慮する必要があります。また、効率的なアナログ-デジタルコンバータ(ADC)とチップ自体のデジタル画像処理機能も必要です。

パッケージング

チップの設計後、保護処理を施し、画像を使用するデバイスに接続する必要があります。パッケージングでは、コストを抑えながら、熱、応力、振動の問題に対処する必要があります。一般的に、光学チップはカメラシステムを使用またはサポートする他のコンポーネントと一緒にパッケージ化されます。

CMOSイメージセンサーの未来

半導体製造技術の向上は、イメージセンサーの機能に直接的な影響を与えます。サイズが小さくなるにつれて、より小さな面積に、より多くのピクセルを収めることが可能になります。典型的な例は、同じサイズまたはより小型のスマートフォンで搭載カメラのピクセル数が増加し続けていることが挙げられます。

CMOSイメージセンサーを搭載したカメラの速度も向上しています。もう1つの成長分野は、自動車アプリケーションでのメガピクセルビデオカメラの普及です。これにより、ドライバーは周囲の状況をより詳細に認識でき、自動運転システムにもより多くの情報が送信されます。

さらに高画質なデジタル画像を生成するために、センサーチップ上でのデジタル画像処理に対する研究が進むことが予測されます。また、フォトダイオードのさまざまなジオメトリの解析も進んでおり、光検出器での赤-緑-青(RGB)フィルタからシアン-黄-マゼンタ(CYM)フィルタへの切り替えによって、感度が向上し、より強力な電気信号を扱えるようになります。さらに、近赤外線(NIR)画像処理では、低光感度と性能の向上に向けた取り組みも進められています。

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