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フレキシブルプリント回路基板(PCB)は、人気が高まっているエレクトロニクス相互接続の一種です。この回路内コンポーネントの接続方法は、多数の設計オプションと優れたロバスト性をもたらします。これは、フレキシブルエレクトロニクス、フレキシブル回路基板、フレキシブルプリント回路(FPC)、またはフレックス回路とも呼ばれ、回路の導電経路は、一般的にポリイミド製、PEEK製、またはポリエステル製のフレキシブルプラスチック基板上に形成され、露出した銅パッド上にコンポーネントがはんだ付けされます。
フレキシブルPCBでは、単層、二層、または多層の導電性銅回路を使用できます。基板の柔軟性が高いため、実装に関してはリジッドPCBよりも優れています。
フレキシブルPCBの市場は、2023年には売上高で218億ドルまで成長しました。これは、全タイプのPCBを合わせると730億ドル規模になる市場の30%を占めます。フレックス回路では、リジッド基板と同じ電子コンポーネントがサポートされ、リジッドPCBテクノロジーと同様に、電子アセンブリの製造プロセス、材料、実装によって、フレックス回路基板の構成が決まります。
違いは基板の柔軟性です。設計者は、これらの要因を理解して課題を回避し、回路設計を実現する、文字通りの柔軟性の高さという利点を活用する必要があります。
フレキシブルPCBは、導電、絶縁、または結合に使用される材料の層から構成されます。導電層の数に基づいて、FPCは単層、二層、または多層タイプに分類されます。
これらの層に加えて、フレキシブルPCBの重要な特徴は、絶縁材料の外側の被覆層が除去されて、はんだパッドと銅めっき穴(層間に電流を流すためのビア)を露出させた領域があることです。
単層構成は、柔軟な誘電体基板、接着層、導電層、別の接着層、そして柔軟な誘電体被覆層で構成されます。
二層構成は、ベース誘電体の両側に接着剤、導体、接着剤、そして誘電体の積層で構成されます。導電層を接続するために、ビアとして機能するめっきスルーホールが追加されます。
多層構成は、必要な数の層を含む積層構造であり、貫通ビアまたはブラインドビアを使用できます。
リジッドPCB内部に層を埋め込むことで、フレキシブルPCBをリジッドPCBに接続することもできます。この構成は、リジッドフレックスPCBと呼ばれ、それぞれの形式の利点を活用したり、ワイヤやワイヤハーネスの代わりにフレックス回路を用いて複数のリジッドPCBを接続したりするために使用されます。
フレキシブルPCBの利点は、高密度インターコネクト(HDI)を使用する設計にも適していることです。HDIにより、PCB設計の一部に柔軟性を持たせながら、よりコンパクトな回路とより薄い層でマイクロビアを備えたリジッドフレックスPCBを実現できます。
HDIはフォームファクターが小さいため、複雑な実装や密な実装が要求される設計に適しています。密な実装を実現するフレキシブルPCBは、より多くの設計オプションをもたらすことが最大の採用理由となることもありますが、HDIを他のコンポーネントに接続できる唯一の方法であることも珍しくありません。
逆に、チップや繊細な受光面などのコンポーネントにリジッド基板が必要となる構成では、それらのコンポーネントをFPCに接続されたHDI上に配置できます。
以下に、フレキシブルPCBの積層を作成するためのコンポーネントについて簡単な説明を示します。
フレキシブル誘電体層
フレキシブルPCBの基材です。この層によって、アセンブリの代表物理特性、特に最終構造の形状と剛性が定義されます。柔軟性、耐薬品性、利用しやすい熱特性を得るために、通常はポリイミド(PI)製基板が使用されます。
また、ポリエステル(PET)も材料としてよく採用されますが、特別な特性が必要な場合には、誘電性ポリマーを使用することもできます。この層の厚さは、通常は12~125μmです。層が厚いほど、構造の剛性が高くなります。基板は、コア層として、さらにはリジッドPCBのはんだマスクのように導電層の上の絶縁層として機能します。
接着層の結合
導電層は基層に直接結合しないため、積層構造で接着層を使用しています。設計者は、接着剤の接着強度と最高温度に注意しなければなりません。なぜなら、これらの値によって、機械的荷重と熱荷重が制限されるからです。
導電層
積層における導電層には、通常は銅を使用します。ただし、必要に応じて、他の導電性金属を使用することもできます。ほとんどのケースで、銅層は基板に接着された銅箔から作成され、エッチングされて目的の回路が形成されます。さまざまな厚さの金属箔を利用できます。一般的に、銅箔を圧延して鍛造銅箔とするか、電着処理されます。また、導電性インキを使用してトレースをプリントすることもできます。
銅めっき
設計に層を貫通する接続が必要な場合は、積層を通して穴が開けられ、銅めっき処理されて、ビアが作成されます。
表面仕上げ
銅のような導電性の高い金属の欠点の1つは、酸化しやすいことです。これに対処するために、表面仕上げとしてコーティング材が薄く塗布されます。これらのコーティング材は、はんだ接合の補強にもなります。最も一般的な表面仕上げは、無電解ニッケル/無電解金(ENIG)、耐熱プリフラックス(OSP)、無電解銀、無電解スズ、および金です。
基板補強材
フレキシブルPCBの特定の領域で、機械的剛性が要求されることがあります。基板補強材として、リジッドPCBの材料にも使用されるFR4や、ポリイミドの厚い層を使用できます。FR4基板補強材は、リジッドコネクタを支持したり、はんだ接合部の応力を低減するために回路にはんだ付けされた大きなコンポーネントの下の曲げを防止したりするために使用されます。
フレキシブルPCBには多くの利点があります。基板の機械的特性や熱特性と熱特性により、設計と性能の可能性が広がります。利点のほとんどは、回路基板材料の柔軟性と、レーザー切断で複雑な形状を簡単に作成できることに関連しています。また、基板材料は、リジッドPCBに使用される材料よりも優れた熱特性を示します。最も重要な利点を以下に示します。
スペースの有効活用
フレキシブルPCBは薄く、複雑な形状に簡単に切断でき、取り付けられるデバイスの形状に合わせて曲げることができます。また、特にリジッドフレックス回路では、コンポーネントを異なる向きに配置しても接続が可能です。
過酷な環境にも対応
フレックス設計で使用されるポリマー材料は、強い化学薬品にも耐性があります。また、高温に耐えることができ、リジッドPCBよりも優れた熱放散性を示します。
耐久性の向上
フレックス回路は、適切に設計されていれば、導電回路が故障することなく、多数の屈曲サイクルに耐えることができます。
衝撃および振動に対する耐性
剛性と質量が低いほど、フレキシブルPCBを使用した電子アセンブリに流入および伝達されるエネルギーが少なくなります。また、材料は、衝撃や振動によって生じる大きなひずみにも耐えることができます。
質量の少なさ
軽量化が必須となる設計には、リジッド基板よりも質量が少ないフレキシブルPCBを使用して電子回路を実装できます。
シンプルなアセンブリ
従来の配線やワイヤハーネスをフレキシブルPCBで置き換えることで、組み立てコストを大幅に削減できます。また、ネジやクランプで固定する必要はなく、所定の位置に接着させたり、単に筐体内に収納することができます。
一見すると、フレキシブルPCBやリジッドフレックスPCBには、数多くの利点のみがあるように思えます。しかし、多くの用途では、フレキシブル基板の利点が適切に活かされないため、現在でも標準的なリジッド回路基板が電子回路の主要プラットフォームとして採用されています。以下は、フレキシブルPCBの最も重要な課題です。
コスト
フレキシブルPCBの材料コストと製造コストは、現状は、広く採用されているリジッドPCBのコストよりも高くなっています。これらのコストは、フレックス回路が広く普及すれば、下降していくことでしょう。しかし、フレキシブルPCBの材料を積層することの難しさと、基材の高い価格によって、コストは比較的高いままと予想されます。
コンポーネント下およびトレースの曲げ
フレキシブルPCBの最大のメリットが、デメリットとなることもあります。剛体コンポーネントの下で材料が曲がると、コンポーネントを導電層に取り付けるはんだに大きなひずみが生じます。この問題を解決するのが基板補強材ですが、追加することでコストが増えます。
トレースの配線で応力集中を考慮しなかった場合、はんだ接合部にひずみを引き起こす同じ曲げが、導電回路の破壊も引き起こすことがあります。エレクトロニクス信頼性シミュレーションを適切に実行することで、設計内で問題が生じている領域を特定して、過度の曲げによる破壊を回避できるPCB設計を導き出せます。
フレキシブルPCB製造における課題
リジッドPCBの製造と配置を自動化するのは非常に簡単です。しかし、薄く柔軟な回路を製造公差内で製造することは難しく、フレキシブルPCBの製造において、コンポーネントの配置とはんだ付けを自動化するには非常に高度な技術を要します。
シグナルインテグリティの問題
シグナルインテグリティとは、電気信号が劣化や歪みなしに回路を通過できる能力のことです。フレキシブルPCBに使用する薄い材料は、ある回路から別の回路への電磁干渉(EMI)を生じさせます。また、基板の曲げによって、信号反射の変化やインピーダンス不整合を引き起こすことがあります。これらの課題は、シグナルインテグリティシミュレーションを使用して、適切な設計プラクティスと適切な配線に従うことで対処できます。
フレキシブルPCBは、そのテクノロジーがもたらすメリットが、デメリットとなる高いコストを上回る場合に活用され始めています。いくつかある課題は、最適化された設計によって回避できます。
フレキシブルPCBの最も一般的な用途は、コンシューマー向けエレクトロニクスデバイスです。回路の形状をデバイスの形状に適合させながら、可能な限りサイズを小さくする必要があります。電卓からスマートフォンまで、設計者は柔軟なエレクトロニクスを採用することで、性能と外観の美しさでバランスを取ろうとします。
高価なワイヤハーネスを、狭い空間にも収まる耐振動性と耐熱性に優れたフレキシブルPCBに置き換えることで、このテクノロジーはさまざまな自動車アプリケーションにも最適です。自動車の設計者にとってもう1つ利点となるのは、同一平面上に存在しない複数のコンポーネントの向きを合わせなくても接続できる点です。こうした利点により、工業用センサーの開発者も、フレキシブルPCBを採用し、複数のコンポーネントを効率的な方法で接続して、センサーの監視対象となる産業機械の振動と熱に対処しています。
医療機器、特にウェアラブル医療機器も、フレキシブルPCBが多く活用されています。ウェアラブル医療機器は重量やサイズに制約があり、人体の形状に適合する必要性がありますが、フレキシブルPCBは、これに対応できる理想的なテクノロジーです。医療機器がますます小型化し、高性能化するに従って、企業はさらにフレキシブルPCBやリジッドフレックスPCBを選択するようになるでしょう。
エレクトロニクス業界のさまざまなトレンドが、フレキシブルPCBの採用を促しています。より小型なパッケージで機能をさらに向上させようとする設計者は、平坦なリジッドPCBよりも、デバイス内に回路を納めやすいテクノロジーへと移行していくでしょう。
フレキシブルPCBのサプライヤーは、性能を向上させる新しい材料の研究を進めています。採用されるケースが増えれば、メーカーがより良い製造プロセスとより大規模な自動化を導入するようになり、価格の低下と生産の迅速化にもつながります。より多くのサプライヤーがフレキシブルPCBの製造を進めれば、メーカーはより多くのデバイスにフレキシブルPCBを実装するようになるでしょう。
採用の拡大につながる分野の1つが、フレキシブルディスプレイと、これまで以上に小型化された工業用およびコンシューマー向けのエレクトロニクス製品です。このテクノロジーには、フレキシブル回路は欠かせません。同様に、ますます薄型化する筐体に、より高性能なコンピュータやモバイルデバイスを実装しようとする動きは、今後もこのテクノロジーを推進させるでしょう。さらに、自動車の電動化によって、より小さなスペースや過酷な環境に対応できる、より柔軟な回路が必要になります。
この未来を実現するには、フレキシブルPCBやリジッドフレックスPCBを使用したパッケージを開発するエンジニアが、競合する特性でバランスを取る必要があります。Ansysのシミュレーションツールスイートで、設計オプションを検討しながら最適な設計を達成できます。フレキシブルPCBの設計をサポートするために導入されているAnsysのツールとして、以下の製品があります。
非常に高度なフレキシブルPCB設計の多くが、Ansysのシミュレーションで可能になります。これらのツールは使いやすく、連携して機能し、より実用的な情報をもたらします。この記事のリンクをご覧ください。また、お客様のニーズと課題について、当社のエンジニアが適切なソリューションを見つけるお手伝いをいたします。ぜひお問い合わせください。
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