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ケーススタディ

Navantia社、Ansysのセンサーシミュレーションソフトウェアを活用し、機械学習(ML)アルゴリズム用の合成データセットを生成


「Ansysのソフトウェアを活用することで、新機能開発のためデータの可用性に関する課題に取り組み、新たな方法を模索することができました。」 

-Aitor Facio Valero氏(Navantia社、COEX海軍システム担当AIテクニカルアーキテクト)


長年、海軍のシステムではデータガバナンスが適切に行われず、データソースの統合と管理も放置されてきました。その結果、現在データソースとして使用できる画像の不足が生じています。さらに、データの機密性を考慮すると、海上での船舶検知、認識、識別のための高品質な機械学習(ML)ベースの視覚モデルのトレーニングに適したデータセットの作成は困難でした。その結果、接近する船舶が味方か敵かを迅速に判断することが難しくなっています。高品質で大量の代替画像を確保するには、革新的な新しいシステムが必要でした。

Navantia社は、シミュレーションを活用し、海軍の認識システムに学習させる画像の生成環境を構築して、視覚センシングモデルをトレーニングして、認識システムを向上させる方法を実証しました。同社は、海上環境における脅威の自動検出および識別システムを開発することを目標としていました。このシステムの目的は、海軍艦艇の乗組員が軍艦、空母、クルーズ船、その他の船舶を特に遠距離で識別できるようサポートすることです。早期に対象の船舶を検知することで、適切な対応を迅速に開始することが可能になります。同社は、センサーシミュレーションソフトウェアであるAnsys AVxcelerate Sensors™を使用して画像やシナリオを生成し、機械学習(ML)ベースのシステムをトレーニングして海軍艦艇の自動識別を実現しました。

課題

本プロジェクトの主な課題

  • 機械学習(ML)ベースのシステムのトレーニングに適したデータが不足している
  • 海上での過酷な環境に対応できるように、モデルを可能な限り多くのパターンでトレーニングする必要がある
  • 3種類のカメラ(短距離・中距離・長距離)による実際の画像と比較した、シミュレーション画像の評価
synthetic camera data

Ansys AVxcelerateとAnsys optiSLangを活用した合成データの生成

sunset lighting

Ansys AVxcelerate Sensorsに取り込んだモデル:日没時の空母の3Dモデル

wide field of view maritime

シミュレーションで生成された画像:広視野の監視カメラで捉えた海上

エンジニアリングソリューション 

Navantia社のエンジニア:

  • AVxcelerate Sensorsを活用して、光学系、解像度などの多様な特性を持つカメラセンサーのシミュレーションを実施し、Ansys optiSLangでプロセス統合および設計最適化を実行し、さらに多様なシナリオの作成と調整を行い、深層学習(DL)アルゴリズムをトレーニングするための多様な数千枚の画像を生成しました。
  • 合成した画像を活用して深層ニューラルネットワーク(DNN)をトレーニングし、実際の環境でシステムが船舶を検知できるようにしました。合成画像でトレーニングされたDNNは、実際のデータだけでトレーニングされたDNNを上回る性能を示しました。合成画像と実際の画像を組み合わせてハイブリッドデータセットを作成することで、高い精度が得られました。
  • 物理ベースでない従来の合成データアプローチと比較して、検出システムの性能が大幅に向上しました。
synthetic images

AVxcelerate Sensorsで合成した画像(左)と実際の画像(右)でトレーニングされたモデルを使用した検出結果

hybrid dataset

Avxcelerate Sensorsで合成した画像(左)とハイブリッドデータセット(合成画像と実際の画像、右)でトレーニングされたモデルを使用した検出結果

ベネフィット

  • 海軍作戦区域などの異種環境で深層学習アルゴリズムをトレーニングするために必要なシミュレーション画像を、物理ベースのシミュレーションを使用して生成することで、データ不足の問題を解決しました。
  • 軍事環境の制限(機密情報、厳格なセキュリティ、過酷な海上の環境、実際のデータ収集と調査の難しさ、艦艇の利用)に関連する課題を解消しました。
  • シミュレーションを使用することで実際の運用環境を把握し、予測困難な状況においても柔軟に挙動する自動意思決定プロセスを拡張しました。
  • Ansysのサポートにより、仮想環境の作成コストを削減し、予算とリソース配分の最適化を実現しました。
  • 2023年の国防・安全保障研究開発国会(DESEi+d 2023)で論文(『Datasets híbridos mediante entornos de simulación en sistemas navales(シミュレーションを用いて生成したハイブリッドデータセットの海軍システムへの適用)』)を発表しました。
metrics

ハイブリッドデータセットの指標