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ケーススタディ

名古屋大学のNAFTチーム、Ansysを使用してロケットの空力特性を最適化


「シンプルなGUIと優れた可視化機能を備えたAnsys Fluent®は、私たちの空力設計の指針となっています。400km/hで飛行するロケットの風洞試験を実施することは困難でした。Ansys Fluentのシミュレーションを導入したことで、圧力分布や気流との干渉を視覚的に理解でき、適切な設計をためらうことなく選択できました。」

岩田晴季氏(名古屋大学、NAFT、ロケットグループPM)


ロケットを設計する際に、研究者が直面する重要な考慮事項の1つはロケットの落下位置を正確に予測することです。これを正しく把握することは、安全性を確保し、発生しうる損傷を回避して、データ回収率に直結するロケット自体の喪失を回避するために不可欠です。自由形状フィンを持つ独自設計のロケットで、ハイブリッドロケット団体が主催する共同打ち上げ実験に参加している名古屋大学宇宙開発チーム(NAFT)にとって、この問題を解決することは最優先事項です。

課題

NAFTは、目標を達成するために3つの大きな課題を克服しなければなりませんでした。1つ目は、開発しているロケットが動的な自由形状翼を備えているため、複雑な流れ場の解析が必要であることです。2つ目は、フィン形状の抗力を最小限に抑えることです。そして3つ目は、飛行中の機体の姿勢に応じてさまざまな条件を調査する必要があることです。

contour plot blue
contour plot red

Ansys Fluentで作成されたコンタープロット。らせん構造が示され、渦が発生している位置と発生の経緯が可視化されている。

エンジニアリングソリューション 

NAFTはAnsysを導入して、飛行中の空力特性パラメータを取得し、さまざまなフィン形状、気流速度、姿勢(ピッチ角やロール角など)を含む、さまざまな条件を解析しました。Ansysで提供されるシミュレーションと幅広い可視化機能により、次のことが可能になりました。

  • 圧力コンタープロットや流れの速度ベクトルを使用して、流れ場や設計による空力特性の変化を迅速かつ正確に理解する
  • 広く採用されている台形フィンではなく、より効率的な揚力をもたらす小型の自由形状フィンを設計する
  • 翼の動きによって発生した渦をLambda2基準(旋回運動の尺度)で可視化する
  • FluentへのPythonicなアクセスを可能にするPyFluentパッケージを使用して、軌道シミュレータを作成し、解析を自動化する
pathline diagram

単一粒子の挙動履歴を示すパスライン図。これにより、翼の回転運動による空気の動きを確認できる。

利点

  • ロケットの空力特性を正確に計算して、落下位置を予測するのに役立ちます。2023年の能代宇宙イベントでは、実際の落下位置と、Fluentのシミュレーションで予測された位置との差はわずか120mで、機体を完全に回収できました。
  • Fluentの可視化機能を活用して、翼の性能に大きな影響を与える翼先端における渦を調査することで、制御に適した形状を決定できるようになります。
  • 安定した収束しやすいメッシュと解析手法の設定を完了した後に、PyFluentで解析を自動化できます。これにより、手動解析と比較して、1回の解析につき1時間短縮でき、設計時間を短縮できました。
  • 短時間で計算を収束させるFluentの機能を使用することで、さまざまな条件下でシミュレーションを効率的に解析できます。
naft team photo

NAFTチームメンバーとハイブリッドロケットの写真

Ansysができること

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