Ansysは、シミュレーションエンジニアリングソフトウェアを学生に無償で提供することで、未来を拓く学生たちの助けとなることを目指しています。
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Ansysブログ
May 2, 2024
自動車業界では、現在の自動車を「車輪付きのコンピュータまたはスマートフォン」と表現することが決まり文句のようになっています。eモビリティが進化し続ける中で、自動車のあらゆる機能分野で高度な車載エレクトロニクスやソフトウェアアプリケーションが急増していることを見れば、そうした表現が使われるのも理解できることでしょう。
この変化は、主に先進運転支援システム(ADAS)テクノロジーの普及と、電動化および自動運転アプリケーションの進歩によるものです。これらのアプリケーションは、複数のセンサーを使用して、複雑な回路や数十億行のコードで実現される接続性と車載通信フレームワークによって強化された、より安全でシームレスなユーザー体験を提供します。
これは文字通り複雑です。幸いなことに、より簡素化された電気/電子(E/E)車両プラットフォームへの移行が、よりシームレスな運転体験への道を開きます。
「Driven by Simulation」の最新エピソードでは、自動車部品のサプライヤーのAptiv社とInfineon社が、Ansysのツールを使用して、ソフトウェア制御される車両テクノロジーをどのように開発しているかをご覧いただけます。
では、ソフトウェア制御される車両(SDV: Software-Defined Vehicle)という用語は何を意味するのでしょう。SDVは、ソフトウェアを介した新機能の実装を含め、ハードウェアベースからソフトウェアベースの車両設計への大きなシフトを反映しています。こうした変化に対応するために、Aptiv社のような自動車部品のサプライヤーは、開発サイクルの早い段階から頻繁にテストを実行して(シフトレフト)、製品が想定どおり安全に機能することを確認する必要があります。
そのために、Aptiv社のADASプラットフォームは、継続的な統合と展開を通じて機能を成長させるために継続的に改善されています。また、このプラットフォームは、機能豊富で高度に自動化された車両を実現する電気および電子システムへのスケーラブルなアプローチとなる、Aptiv社のSmart Vehicle Architecture™(SVA)の一部でもあります。
Aptiv社のSVAの中心には、オープンサーバープラットフォームがあります。このプラットフォームは、ハイパフォーマンスコンピューティングのための機能が搭載された車両のメインの「脳」と呼ばれ、この脳から伝達されたコマンドを変換する車両のセントラルビークルコントローラー(CVC: Central Vehicle Controller)が「小さな脳」として機能します。
具体的に言えば、CVCは多数の車両機能を担う専用コンピュータであり、ソフトウェアコードを物理的な動作に変換するアーキテクチャの重要な部分です。車両コンポーネント間のあらゆる通信信号の詳細を分類し、これらの動作を開始するためのソフトウェアアプリケーションへのサービスとして機能を抽象化します。
Aptiv社のグローバル製品部門(GPO)の機能安全リーダーであるLisa Savage氏は、搭載されるあらゆるADASおよびADシステムの安全性を評価するために、製品開発のさまざまな段階で安全分析ソフトウェアであるAnsys medini analyzeを使用しています。このソフトウェアを使用することで、業界の最新の安全分析手法や安全規格と照らし合わせて、これらのセーフティクリティカルな電気および電子システム、さらにはソフトウェア制御されるシステムの運用範囲を理解できるようになります。
Savage氏は次のように述べています。「解析作業では、多くの場合にAnsys mediniを使用しています。ハザード分析およびリスクアセスメントの段階からmediniを使い始めますが、製品開発段階でも活用しています。この段階では好ましくない挙動につながる故障、条件、状況を特定します。それらを特定できれば、必要な安全対策を決定できるようになります。」
Aptiv社では、運転時の製品挙動を時間の経過とともに追跡し、想定していなかったシナリオやエッジケースがないかどうかを確認するためにも、シミュレーションを使用しています。こうしたエッジケースは、道路上の予期しないリスクを表しますが、それぞれが独立して発生することが多いため、分類が困難になります。
Aptiv社でのこの作業には、アンテナなどの高周波電磁デバイスの解析が含まれます。レーダーセンサーに組み込まれたアンテナは、物体に向かって信号を送り、反射して戻ってくる信号を受け取るために使用されます。
Aptiv社で、このような高周波アプリケーションの性能をテストするのに、シミュレーションが役立ちます。
Aptiv社のシニアアンテナ設計者であるRoshin George氏は、次のように述べています。「私たちは、77GHz前後の高周波数帯域を扱います。この高周波数帯で設計し、プロトタイプを使ってテストすることは非常に手間がかかり、ほぼ不可能です。シミュレーションツールがなければ、一定期間内にプロジェクトを完成させることは不可能だったでしょう。それほど重要なツールです。」
将来、完全な自律型システムを実現するには、このようなエッジケースから数千マイルにわたって大量のデータを捕捉する必要がありますが、これは現実的には不可能に近いことです。シミュレーション環境内で作業することで、数百回のシミュレーションを実行して、複数の既知および未知の変数を数分間で評価できるようになり、これらのプロトタイプを走行時に測定する作業を減らし、走行時間を節約できます。
SDV開発におけるもう1つの大きな転換点は、電気自動車(EV)です。eモビリティプラットフォームでは、モノのインターネット(IoT)を導入して運用上の課題を解決します。IoTは、ネットワーク接続され、データ交換可能な物体を使用して、統合されたソフトウェア、センサー、およびその他のテクノロジーによって実現されます。
ドライブトレインからシート調整機能まで、EVのあらゆる部品には、中央制御ユニットと通信して車両機能を制御するセンサーが搭載されています。電力システムとIoTの市場リーダーであるInfineon社は、こうしたシステムの開発における複雑さを調べ、さまざまな製品の機能を最適化するために、Ansysのマルチフィジックスエコシステムを利用しています。それにより、お客様が利用しやすい製品を提供することを目指しています。
Infineon Technologies社の自動車およびEV用高電圧トラクションインバータアプリケーション管理担当のSijia Zhang氏は、シミュレーションを使用して、EVを始動させるバッテリから電気モータへのDC-AC電力変換を行うトラクションインバータを解析しています。このような相互作用は熱的影響を受けやすく、シミュレーションが極めて有用となります。
同様に、高温となるEV電源モジュールの健全性を評価する上で、Ansysのツールは非常に重要な役割をはたしています。電源モジュールとは、バッテリパックとして複数のバッテリセルをまとめたものです。これらのモジュールの熱マネジメントは、最適なパック効率と性能を確保するために重要です。どちらも、1回の充電でEVが走行できる距離、すなわち車両の航続距離に影響します。
Zhang氏は次のように述べています。「冷却概念に関しては、電源モジュールの内部と外部の温度を正しく把握する必要があります。ピーク温度が高いほど、性能が高くなるからです。現在、当社では次世代SiC電源モジュール製品が開発終盤を迎えています。前世代と比べて、ピーク温度は25℃上昇しました。これは大幅な向上です。それを実現できたのも、信頼性の高いAnsysのシミュレータで、より精度の高い解析を実行できたからです。」
「Driven by Simulation」の最新エピソードを見逃さないように、通知設定をオンにしてください。最終エピソードの公開時にお知らせをお届けいたします。エピソード10では、TAG Heuer Porsche Formula Eチームがシミュレーションを使用して、レース前後やレース中の電動パワートレインの性能を最適化する方法をご紹介します。また、UGRacingがグラスゴー大学が開催するFormula Studentレースで優勝するために、Ansysのツールをどのように活用しているかについても紹介します。
当社はお客様の質問にお答えし、お客様とお話できることを楽しみにしています。Ansysの営業担当が折り返しご連絡いたします。