Skip to Main Content

      

Ansysブログ

April 12, 2024

勝利の組み合わせ: SPDMを活用したAIトレーニングの強化

人工知能(AI)は、実際のデータを利用して人工的な推論プロセスを行います。AIトレーニングの基盤にあるのがデータです。エンジニアは、AIモデルにデータを入力して、タスクを実行するようにトレーニングを実行します。AIトレーニングを成功させるには、正確かつ大量のデータが必要です。シミュレーションは、予測精度、大容量データ、ほぼ無限の解析機能、迅速な結果など、AIトレーニングにおいて大きな役割を担います。

Ansysの最新AIベーステクノロジーであるAnsys SimAIは、Ansysのシミュレーションの予測精度と生成AIのスピードを組み合わせた、物理場に依存しないクラウドネイティブなSaaS(Software-as-a-Service)サービスです。過去に作成したデータを使用してAIをトレーニングできます。Ansysのツール以外で作成されたデータでも利用可能です。これは、Ansys Minervaなど、シミュレーションプロセスおよびデータ管理(SPDM)製品を使用するユーザーにとっては朗報となるでしょう。SPDMプラットフォームでは、豊富なデータがすでに整理および管理されているため、準備が整っています。これにより、SimAIへのデータ入力はさらに簡単かつ迅速そして効率的になります。では、SPDMを活用してAIトレーニングを強化する方法を見てみましょう。

Minerva program manager main screen

Ansys Minervaなどのシミュレーションおよびデータ管理(SPDM)システムの適切に管理されたファイルや情報は、人工知能(AI)のトレーニングに必要な大量で貴重なデータとなる。

SimAIとは何か

SPDMを使用することで、さまざまな部署や異なるエンジニアリング分野から構成された組織全体のシミュレーション、データ、ワークフロー、リソースを、一元化されたデータベースから管理できるようになります。Ansys MinervaのようなSPDMソリューションを導入することで、企業は製品ライフサイクルのすべての段階にわたるデジタルスレッドを作成し、生産性を向上させ、より良い設計を作成し、さらにはコラボレーションを向上させることができます。

これはSimAIと、どう関係があるのでしょうか。AIトレーニングに関して言えば、これはMinervaのユーザーが、組織のあらゆる場所から、適切に整理されたロバストなデータに迅速かつ簡単にアクセスできることを意味します。

では、SimAIについてもう少し詳しく見ていきましょう。SimAIは、コーディングの経験や深層学習の専門知識を持たないユーザー向けに設計された、直感的で使いやすいソフトウェアです。  SimAIは、形状パラメータを使用して設計を定義するのではなく、設計の形状そのものを入力として使用するため、トレーニングデータ間で形状の構造が一貫していなくても、より広範な設計調査が容易になります。さらに、SimAIにより、計算負荷の高いプロジェクトにおいて、あらゆる設計段階でモデル性能の予測が10~100倍向上します。トレーニングと予測は、最新のクラウドインフラストラクチャでホストされるため、ユーザーデータは安全かつ確実に保護されます。

SimAIは、基本的にはデータのアップロード、AIモデルのトレーニング、そして予測の3つの簡単なステップを実行します。前述したように、過去に作成したデータを使用してAIをトレーニングできます。Ansysのツール以外で作成されたデータでも利用可能です。データがすでにコンパイルおよびソートされており、数回のクリックでアクセスできるため、SPDMユーザーにとって大きなメリットとなります。

AI prediction time vs simulation

Ansys SimAIにより、計算負荷の高いプロジェクトにおいて、あらゆる設計段階でモデル性能の予測が10~100倍向上し、シミュレーション結果をわずか数分で得られるようになる。

SPDMでAIの力を強化

では、どのようにMinervaのデータをSimAIに移行すればよいでしょうか。まず、Webブラウザを介してSimAIに接続します。次に、Minervaで使用したいファイルを選択し、ファイルシステム内の専用フォルダまでドラッグします。このフォルダ内でスクリプトを実行して、シミュレーションデータを、SimAIが認識できるオープンソースフォーマットであるVisualization Tool Kit(VTK)ファイルに変換します。ローカルファイルシステムからSimAIにファイルをドラッグすると、準備が完了します。

これで、SimAIでデータを使用してモデルを構成し、AIトレーニングを開始できます。既存のSimAIモデルを使用してCADファイル内のジオメトリの性能を評価し、結果をMinervaに自動的にダウンロードすることで、データの品質を評価することもできます。

さらに、SimAIのクラウドファーストアプローチにより、トレーニングの元の結果はリモートサーバーに保存されます。これにより、AIのトレーニングを継続する際に、ローカルファイルシステムとリモートファイルシステムでのアップロードやダウンロードが不要になります。

SimAIでは、シミュレーション結果を活用して、タスクを完了または設計の推奨事項を作成するために必要となる学習とトレーニングを実行します。AIのトレーニングを準備する際には、シミュレーション結果の把握が不可欠となりますが、これはMinervaが本来備えている機能として実行されます。しかし、SPDMが有用なのはトレーニングの開始時だけではありません。

AIのトレーニングを継続し、より多くのシミュレーションを実行すると、SimAIで学習して、より良い推奨事項を提示できるように、分類、整理、管理が必要となる結果がさらに生成されます。このように、Minervaでは継続したAIトレーニングを通じて継続的なサポートを提供します。同様に、SimAIでは、グローバル係数や揚力または抗力などの値を含むメタデータで予測結果をタグ付けできるため、結果を後で特定しやすくなります。

Sim AI via web application

ブラウザを介してWebアプリケーションを使用し、SimAIに接続する。

ツールをカスタマイズ

前述したように、SPDMは、分類され、整理され、簡単に見つけることができるシミュレーション結果の安全なリポジトリですが、Minervaでも、ユーザーがシミュレーション結果をより良く理解できるように、これらの結果に関する重要な情報を保存しています。この知見を活用することで、SimAIのデータ入力を選択する際の意思決定が促進され、AIトレーニングプロセスの加速と効率化につながります。

さらに、Minervaはクラウド展開に対応しており、広く使用されているCADツール、CAE(Computer-Aided Engineering)ツール、製品ライフサイクル管理(PLM: Product Life cycle Management)システムとのネイティブな相互運用性が提供されます。さらに、材料管理ソフトウェアのAnsys Granta MI Enterprise、プロセス統合および設計最適化ソフトウェアのAnsys optiSLang、モデルベースシステムズエンジニアリング(MBSE)ソフトウェアのAnsys ModelCenterなど、他のAnsys Connect製品とも簡単に統合できます。そのため、Minervaのデータには、さまざまなソリューション(Ansys以外のソリューションを含む)から得られた知見が含まれており、AIモデルに対して包括的なトレーニングをすぐに開始できます。さらに、マルチフィジックスシミュレーションワークフローは、物理場を選ばないSimAIとシームレスに連携します。あらゆるエンジニアリング分野、シミュレーション製品、業界および分野にわたってMinervaとSimAIの活用が可能です。

Ansys AIソリューションの詳細について

非常に高速で動作するAnsysの最新AIソリューションは、研究開発を加速させ、製品開発サイクルを短縮し、広範な設計調査を可能にすることで、イノベーションを促進します。

MinervaをはじめとするSPDMソリューションは、これらの機能を拡張し、包括的で正確なデータで構成される最適化されたトレーニングを通じてAIの能力を強化します。

AIを活用したAnsysのイノベーションの詳細については、Ansys AI - AIを活用したシミュレーションテクノロジーをご覧ください。SPDMソリューションがどのようなメリットをもたらすか、Minervaの無料トライアルをリクエストしてご確認ください。