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Ansysブログ

April 28, 2021

構造解析のためのFEAメッシングの基礎知識

シミュレーションは、多くの業界にとって非常に重要なツールであり、シミュレーションソフトウェアのグローバル市場は、今後数年間で8~9%の年平均成長率(CAGR: Compound Annual Growth Rate)で伸びると予想されています。これは非常に大きな成長であり、主に、製品開発コスト、実機試験、欠陥のあるプロトタイプの削減を含め、シミュレーションソフトウェアがビジネスにもたらす多くの利点によるものです。

シミュレーションのようなコンピュータ支援エンジニアリング(CAE)アプリケーションには、有限要素法解析(FEA)や数値流体力学(CFD)など、製品を解析するタイプのソフトウェアがあります。CAEシミュレーションを実行するには、解析の3つの重要なステップ(前処理、解析、後処理)があります。FEAの前処理ステップ、特に高品質のメッシュの重要性について説明しましょう。

溶接部のメッシュ生成とシミュレーションを行う方法および高品質メッシュを維持する方法の詳細については、他のFEAメッシングに関するAnsysブログをご覧ください。

ギアボックスのケーシング部品のメッシュ例

FEAにおけるメッシングとは

有限要素法解析(FEA)は、部品/アセンブリ、材料特性、および境界条件からなる物理システムの数学的表現です。状況によっては、実世界での製品の挙動を単純な手動計算で近似できないことがあります。FEAのような一般的な手法は、偏微分方程式を用いて物理現象を正確に捉えることで複雑な挙動を表現するのに便利な手法です。FEAは成熟し、民主化されているため、設計エンジニアと専門家の両方が使用できるようになりました。

メッシングは、FEAを使用して正確なシミュレーションを実行するための最も重要なステップの1つです。メッシュは、ジオメトリの形状を表す節点(要素タイプによって異なる、空間内の座標位置)を含む要素で構成されます。FEAソルバーは不規則な形状を簡単に扱うことはできませんが、立方体のような一般的な形状を比較的簡単に扱えます。メッシングとは、不規則な形状を「要素」と呼ばれる、より認識可能なボリュームに変換するプロセスです。

メッシングを開始する前に、まずジオメトリやCADモデルをAnsys Mechanicalなどにアップロードして、シミュレーションプロセスを開始する必要があります。

メッシングのためにCAD/ジオメトリを準備する方法

MechanicalなどのFEAシミュレーションソフトウェアを使用する場合は、CADモデルのどのフィーチャーをメッシングする必要があり、どのフィーチャーをメッシングしないかを決定することが重要です。多くの場合、CADジオメトリは製造用途のために非常に複雑で詳細です。ただし、シミュレーションでは、すべての詳細が必要ではないこともあり、ジオメトリの一部をフィーチャー除去できます。つまり、時間を節約するために、これらの詳細を除去することになります。

例として、製品にネームプレートが取り付けられているケースがあります。このネームプレートの物理的な影響を知る必要性がない場合は、プレートのフィーチャー除去を行い、メッシュを生成しないようにすることで、メッシングと解析にかかる時間を短縮することができます。

Ansys SpaceClaimを使用して、ジオメトリ上のネームプレートを簡単にフィーチャー除去し、プレートに対して不要な解析を行わないようにしました。 

シミュレーション用にCADモデルを準備するもう1つの重要な側面は、ジオメトリ内の2つ以上のパーツ間の関係を表すことです。たとえば、ジオメトリが共通の面(またはエッジ)間で節点を共有する場合、それが連続メッシュか不連続メッシュであるかを決定することが重要です。連続メッシュは、接着剤または溶接で接合されたパーツに使用されます。不連続メッシュは、接触またはジョイントで接合されたパーツに使用されます。Ansys Mechanicalでは、ニーズに合わせてこれらの手法を組み合わせることができます。

 詳細は、ブログ「FEAモデルを改善するための3つのステップ」をご覧ください。

メッシング法のタイプ: 四面体または六面体

メッシング法には、主に2つのタイプがあります。これを説明するために、ここでは3Dモデルを扱います。

  • 四面体要素によるメッシング
  • 六面体要素によるメッシング

一般的に、六面体要素では、四面体要素よりも少ない要素数でより正確な結果が得られます。複雑なジオメトリの場合は、四面体要素が最適です。これらのデフォルトのメッシング法や自動メッシング法は、必要な目的を達成するのに十分なこともありますが、より優れたメッシュコントロールを得られる他の方法もあります。

ハイブリッドメッシング

Mechanicalでは、マルチゾーンメッシングを使用できます。これは、ジオメトリのさまざまな部分をさまざまな方法でメッシングできる、六面体要素と四面体要素を使用するハイブリッド方式です。これにより、ジオメトリの準備を少なくし、局所的なコントロールメッシュを増やすことができます。

Ansys Mechanicalのハイブリッドメッシング機能を使用したパイプ接続部のジオメトリ 

 

スイープメッシング

スイープメッシングでは、ボリューム内や面内をメッシュで実際にスイープすることで、規則的なサイジングで効率的なメッシュを生成することができます。

どのメッシング法を使用するかは、通常、解析のタイプ(陽解法または陰解法)、解析する物理特性、達成したい精度のレベルによって決まります。その他にも、付加製造技術のような特定の解析に使用される直交メッシングや積層四面体などのオプションがあります。

メッシングコントロール

メッシングコントロールを使用することで、より正確なメッシュを達成できます。Ansys Mechanicalでは、CAD全体を同じ方法でメッシングするグローバルメッシュの代わりに、ローカルメッシュを制御できます。ローカルメッシングコントロールの例としては、ローカルサイズ設定、精細化、影響範囲のジオメトリのフィーチャー除去などがあります。

たとえば、オートバイのフレームを見てみましょう。ジオメトリ全体に一般的なメッシング法を適用しながら、溶接接続とボルト接続の箇所には、別の方法を使用したいとします。ローカルメッシングコントロールを使用すると、これらの箇所にはより精細化されたメッシュを使用し、解析時間が長くなる小さな要素でパーツ全体をメッシングしないようにできます。

溶接されたジョイントを含むオートバイフレームのジオメトリのメッシング

 

品質の良いメッシュが重要である理由

簡単に言えば、高品質のメッシュを使用することで、より正確な結果を得られます。低品質メッシュの場合、収束が困難になり、正しくない結果や誤った結論につながる可能性があります。メッシュの品質は、いくつかのシナリオによって異なります。

  • どのタイプの解析を実行するか
  • メッシュにどの程度の時間をかけたいか
  • 解くことにどの程度の時間をかけたいか

状況によっては、設計に関する意思決定を明確にするのに役立つ答えを素早く得たいことがあります。この場合は、メッシュの設定に多くの時間を費やすことは避けたいでしょう。あるいは、非常に正確な解や結果が必要な状況もあります。この場合は、さまざまな方法やコントロールを使用してメッシュを設定するために、ある程度の時間と労力をかけることが必要となります。

品質の良いメッシュには、要素の品質やアスペクト比など、ニーズ(解析タイプ、精度のレベル、時間)に合った品質基準があります。最終的には、ジオメトリを理解し、コントロールを使用して可能な限り最高品質のメッシュを得ることをお勧めします。これは、最終的に製品設計の改善につながります。

詳細については、Ansys Learning Hubのメッシング入門コースをご覧ください。または、ウェビナー「亀裂伝播向けのAnsysのマルチフィジックスシミュレーション」をご覧ください。