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Ansysブログ

March 30, 2023

アンテナゲインを計算して向上させる方法

完全に球形のアンテナを想像してください。全方向に均等にエネルギーを放射し、垂直方向と水平方向の両方で同じ電磁強度を均等に供給しています。これは等方性放射体と呼ばれていますが、(ネタバレすると)実在しません。この理想的で仮想的なモデルとは異なり、現実世界のどのアンテナも何らかの指向性を持ち、特定の方向により多くのエネルギーを放出します。このような集中した出力を測定する方法をアンテナゲインと呼びます。

アンテナゲインとは

アンテナゲインは、理想的な等方性放射体と比較して、任意の方向に信号を放射するアンテナの能力を示す測定値です。アンテナゲインは通常、等方性に対するデシベル(dBi)単位で表されます。これは指向性と密接に関連していますが、アンテナの効率も考慮されます。

アンテナゲイン = 指向性 + 効率

等方性放射体は全方向に同じエネルギーを均等に放射するため、「ゲインなし」(0dBi)であると言えます。この値は、送信された電力がすべて受信される場合にのみ達成できます。これは、電気抵抗といった要因の影響を受ける現実のアンテナでは不可能です。ただし、優れた設計により、アンテナのゲインがアプリケーションのニーズを満たすようにすることはできます。   

Radiating 5G mimo arrary

図1: 放射する5G MIMOアレイ

高ゲインまたは低ゲインのどちらが良いか

ゲインは高いほど良いというわけではありません。ゲインが高いほど、信号は強くなり、接続は良好になることを意味しますが、それが必ず適切であるとは限りません。アプリケーションによっては、ゲインが高すぎるという状況も実際にはあります。すべては、アンテナがどのように使用されるかによります。

遠くの受信機に到達するための最良の選択は、間違いなく高ゲインのアンテナです。信号は長距離を移動する必要があるため、信号の強度を高めてターゲットに直接向ける必要があります。

ただし、より広いエリア(スポーツバーのワイヤレスネットワークなど)で信号を均等に受信する必要がある場合は、高いゲインは避けるべきです。これは、ゲインが、ある方向でエネルギーをブーストさせるために、別の方向からエネルギーを取り上げているからです。アプリケーションが無指向性アクセスを必要とする場合は、ゲインが低い方が適切になります。簡単に言うと、ゲインが高いほど信号の移動距離は伸び、ゲインが低いほど照射野パターンが広くなります。

理想的なゲインを決定するための他の考慮事項は、位置と信号源です。高ゲインのアンテナは、高い位置に設置したり、障害物のない平坦な場所に設置したりするのに最適です。また、(モバイルデバイスなどのように)信号の発信源の位置が不明な場合は、低ゲインのアンテナを使用することが推奨されます。 

アンテナゲインの計算方法

アンテナのゲインを測定するには、信号が送信されるときの出力と、等方性放射体から送信された場合の同じ信号の出力を比較します。アンテナゲインの計算式は次のとおりです。

GdBi = 10log10(G)

アンテナゲインを向上させる方法

アプリケーションが、より高いゲインの恩恵を受ける場合は、いくつかの方法でゲインを向上させることができます。

  1. サイズ: アンテナのサイズが大きいほど、より多くの電波を捕捉できます。
  2. 量: 複数のアンテナを使用して、それらの信号を組み合わせることができます(アンテナアレイとも呼ばれる)。
  3. 表面: 反射面を用いて、波をアンテナに向けることができます。
  4. 形状: 八木アンテナなど、一部のアンテナタイプは、より高いゲインを実現するように設計されています。

シミュレーションによるアンテナゲインの予測

Ansys HFSSなどのシミュレーションソフトウェアを使用することで、エンジニアは、設計の変更がアンテナゲインに与える影響を確認できるようになります。これらが特定されると、ゲインを増減するように調整し、アンテナを実際に製造する前に、定義された要件を満たすかどうかを確認できます。シミュレーションによるアンテナ設計の最適化の詳細については、こちらをご覧ください。