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Ansysブログ

May 31, 2023

3D Printing Corporation社、マルチフィジックスシミュレーションを使用して付加製造技術サービスを最適化

技術の進歩が世界中のさまざまな業界に影響を与え続けている中で、付加製造技術(AM: Additive Manufacturing)に対する評価は、これまで以上に高くなっています。そのグローバル市場は2030年までに761.6億ドルに達し、予測期間(2022年~2030年)では年平均成長率20.8%で成長すると予測されています。1

企業は材料コストを削減しながら効率を大幅に向上させる方法を模索しており、環境への懸念もその普及の一端を担っています。このバランスを実現するために、多くのメーカーがデジタルトランスフォーメーションを積極的に活用し始め、新しいテクノロジーや手法を導入しています。シミュレーションとAMにより、メーカーはプリンティングを行う前に3D部品を設計、テスト、検証できるようになるため、時間、材料、コストを節約しながら、部品の品質を向上させることができます。

アメリカ人によって設立され、日本に本社を置く株式会社3D Printing Corporation(以下、「3DPC社」)は、シミュレーションとAMを組み合わせて、戦略的な3Dプリンティングサービスのためのワンストップショップを提供することで、メーカーが代替のサプライチェーンを構築できるよう支援しています。サプライチェーンを確保し、メーカーが予期しない混乱に備えるために、3DPC社はAM部品およびサービスをメーカーに提供し、そのワークフローを最適化およびデジタル化します。3DPC社は、玩具会社から宇宙ステーションまで、いくつかの業界や市場と協業しています。

Ansysスタートアッププログラムを通じて、手頃な価格でAnsysのマルチフィジックスシミュレーションツールにアクセスできるため、3DPC社はAnsysのシミュレーションを使用して、3Dプリントされた部品や材料の精度と耐久性を確保しています。予測精度の高いAnsysの解析により、3DPC社は、材料コストを削減し、AMサービスを最適化し、顧客ベースを拡大しながら、構造健全性、熱に関する問題、流体流れ、衝撃などの動力学設計を検証しています。

Fluid analysis for centrifugal airfoil

3DPC社の設計者は、Ansys Fluentを使用して遠心翼周囲の流体流れを解析します。

課題への取り組み: シミュレーションで付加製造技術の問題を軽減

3DPC社は、樹脂、金属、複合材など、幅広い材料を扱っています。AMにおいて部品を正しく作成し、コストを抑え、大量プリンティングでのエラーを回避するためには、変形を予測することが不可欠です。3DPC社では、熱変形を事前に解析および予測し、パラメータを修正するために、Ansysのマルチフィジックスシミュレーションツールを使用しています。

部品を構築する際には、強度と重量のバランスを取ることも同様に重要です。メーカーは強度の高い部品を達成しようとしますが、メーカーの顧客は軽量であることを求めています。このバランスを取るために、3DPC社はAnsys Mechanicalおよび応用トポロジー最適化とともに、熱溶解積層法(FDM: Fused Deposition Modeling)を使用しています。設計チームは、FDM法の異方性を考慮しながら強度を評価し、トポロジー最適化されたモデルにこれを適用しました。このアプローチを使用した一例では、強度を低下させることなく重量を20%削減することに成功しました。Ansysのシミュレーションを使用することで、境界条件などの設定やパラメータを変更して、目的の比率を達成することができました。

EMモデリング

Ansys Fluentによる遠心ポンプ周囲の流体流れのシミュレーション

Fluid analysis for centrifugal pump impeller

Ansys Fluentによる遠心ポンプ羽根車周囲の流体流れのシミュレーション

伝熱解析については、熱交換効率を評価するためのAnsys Fluentと、粉末床溶融結合(PBF: Powder Bed Fusion)法を使用した熱変形を予測するためのAnsys Additive Suiteを統合しています。さらに、エラストマー材料の衝撃吸収を評価するためにAnsys LS-DYNAを使用し、メッシュデータを解析するためにAnsys Discoveryも使用しています。

3DPC社のCEOであるAlexander De Vore氏は、次のように述べています。「Ansysスタートアッププログラムがなければ、Ansysのさまざまなモジュール製品をすべて検討することはなかったでしょう。製品によっては、当社のプロセスのさまざまな部分に、予期しないメリットをもたらしたものもありました。こうしてAnsysの製品を幅広く検討することで、当社の既存のビジネスにとって付加価値となる新しい方法を見つけることができました。」

3DPC社は、部品の重量を削減するだけでなく、材料の使用量を削減し、部品の性能を向上させました。たとえば、Ansysのツールは、3DPC社が格子クッションなどのAM部品の硬度や柔らかさを定量化するのに役立ちます。この知見により、部品が改善されるだけでなく、3DPC社はシミュレーションを使用して部品の特性を仮想的に説明できるようになり、より強力なビジネス提案を顧客に示すことができます。こうした利点とAnsysの高速なシミュレーションターンアラウンドにより、3DPC社は販売までの時間を短縮し、生産を加速させ、新規顧客を獲得し、投資収益率(ROI)を向上させました。

Red helmet with 3D printed cushion

3DPC社は、付加製造技術でAnsysのシミュレーションツールを使用して、3Dプリンティングされたこのヘルメットのクッションなどの部品の品質を向上させました。

シミュレーションによる顧客満足

3DPC社は、主に4つのサービスを提供しています。具体的には、PBF法や溶融フィラメント製造(FFF:Fused Filament Fabrication)法などの幅広いAMテクノロジーを含む設計エンジニアリング、3DPC社の日本工場内の自社設備による製造、ハードウェア統合に関するコンサルティング、顧客が電子的に発注および追跡できるデジタルプラットフォームです。

3DPC社のお客様は、主に部品を迅速に必要とする組織、AMジオメトリを活用した高性能コンポーネントを必要とする組織、またはAMの体系的な採用を検討しているが、どのように開始すればよいかわからない組織のいずれかに分類されます。

より迅速な部品生産を求めるお客様の要求に応えるため、3DPC社はシミュレーションを活用してアナログコンポーネントをデジタル化し、より短期間にお客様の仕様に合わせて部品を調整することができます。ある例では、世界中に拠点を持つ大手企業がリードタイムを約20%短縮できるよう支援しました。

De Vore氏は、次のように述べています。「長年にわたって開発してきたソフトウェアモデルと設計の経験則を使用することで、多くの試行錯誤を回避できます。」

AMジオメトリを使用して部品の性能を向上させたいと考えている顧客にとって、シミュレーションは、3DPC社が重量に関する動力学設計、熱力学、電磁界特性などの一般的な課題を克服するのに役立ちます。ほとんどのお客様は、従来のジオメトリをすでに探索しており、AMによる新しい機能を追求しています。3DPC社は、材料の選択から性能試験、さらには材料開発までの統合されたサービスを提供することで、これらのニーズを満たします。

AMの訴求力と人気が高まっているため、多くの企業はこのテクノロジーに興味を持っていますが、そのプロセスには慣れていません。これらの潜在的な顧客のために、3DPC社は具体的なニーズを評価し、可能なソリューションを検討するためのハードウェアコンサルティングを提供します。

Metal parts with 0 porosity

Ansysのシミュレーションから得られる重要な知見により、空気が閉じ込められたためにプロセス中に生じる可能性がある金属の空隙率など、発生する可能性のある欠陥を検出できます。

将来の製造

AnsysのシミュレーションをAMプロセス全体に統合することで、3DPC社は、チームが重要だと感じている重要なデータ主導型の知見を適用できます。

De Vore氏は、次のように述べています。「AMはシーケンシャルなプロセスであるため、このタイプのデジタルモデリングは非常に重要です。」

今後もAnsysのシミュレーションでビジネスを強化し、ツールをさらに検討し、デジタルストレージソリューションを検討することでデータ知見を向上させる予定です。

De Vore氏は、次のように述べています。「モデルの結果を提示することで、新しい顧客を獲得することが最も優れた成果です。Ansysを導入したことで、シミュレーション結果を統合して販売までの時間を短縮でき、顧客を獲得したことで、当社にとって非常に良いROIを達成できました。」

Ansysは、新しいイノベータが手頃な価格で最先端のシミュレーションツールにアクセスできるよう取り組んでいます。Ansysスタートアッププログラムの詳細については、こちらをご覧ください。