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ミッションシミュレーションと機械学習: 解析を改善するコラボレーション

7月 29, 2024

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Novarah Kazmi Policht | Ansys、シニアアプリケーションエンジニア
Teresa Brooks-Mejia | Ansys、プリンシパルR&Dエンジニア
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人工知能は、特定の問題を解決するための強力なツールです。人工知能をミッションシミュレーションと組み合わせることで、実際の開発やテストにかかるコストのわずか数分の一で、新しい問題に対する解決策を検討できるようになります。実際に、デジタルミッションエンジニアリングソフトウェアであるAnsys Systems Tool Kit(STK)では、ミッションシミュレーションと機械学習(ML)モデルを組み合わせたワークフローを使用して、解析を向上させることができます。

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2024年のAIAA SciTech Forumで公開された畳み込みニューラルネットワークモデルアーキテクチャ

問題の理解

MLは、解析対象の問題が、モデルのトレーニングと検証に使用されるデータでモデル化される、問題を解決するためのデータ駆動型アプローチです。MLを適切に適用してデータを使用することで、問題を理解して解決する能力を拡張できます。たとえば、適切に設計されたデータセットでトレーニングされたMLモデルは、隠れた機能や関係を学習でき、運用環境でのタスクのスケーリングや自動化が可能になります。では、こうしたデータセットは、どのように取得するのでしょうか。複数年にわたる運用プロセスで取得するのも1つの方法ですが、STKなどの商用オフザシェルフ(COTS: Commercial Off-The-Shelf)ツールを導入すれば、MLモデルで使用するデータセットをより低コストで生成できます。

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一般的な機械学習(ML)開発ライフサイクル

このブログでは、データセットの設計については説明しません。以下の質問に答えることで、ミッションのモデリングとデータセットの作成を開始できます。

  1. どのようなML問題を解決しようとしているか。たとえば、分類問題、識別問題、それとも入力に基づいてある数値を予測しようとしている回帰問題であるのかを考えます。上の図は一般的なML開発ライフサイクルを示していますが、必ず、解決しようとしている問題を理解することから始まります。
  2. モデルのトレーニングには、どのようなデータが必要か。そして、どのようなフィーチャーをデータに含める必要があるか。たとえば、光学センサーと区別できる特徴を用いて衛星を識別しようとする場合は、モデルをトレーニングして検証するための衛星の画像やデータセット内の各例のラベル(例内の衛星を表す)が必要になります。
  3. トレーニングデータセットには、いくつの例を含める必要があるか。そして、これらの例は実際の問題をどの程度正確に表しているか。

データセットワークフローの作成

問題を理解できたら、データセットを生成するためのツールを実際に使用します。STKなどの物理ベースのツールを使用してデータセットを生成することで、ソースデータを把握するためのトレーサビリティが得られ、データセット内で問題をモデル化する方法を詳細に制御できるようになります。また、シミュレーションは、データセットが存在しない解決策をモデル化して調査できるという利点もあります。たとえば、シミュレーションは、将来的に行われる開発や、解決策の立ち上げと実環境での反復にコストがかかりすぎる場合などに特に有用です。

STKを使用すれば、設計リファレンスミッション(DRM: Design Reference Mission)を作成して、調査中の問題をモデル化できます。このDRMには、ミッション関連における複雑なシステムやアセットのすべてを含めることができます。アセットが地上、空域、または宇宙のどこかにあるかにかかわらず、統合された単一のツールでそれらをモデル化できます。DRMに変更を加え、運用コストをかけずに新しい結果を生成できるという柔軟性もあります。ライブミッションでは、さまざまなパラメータを選択していても、一度に1つの構成しかテストできないこともあるでしょう。しかし、シミュレーションを使用することで、一意の構成をスイープして複数のアプローチをテストし、必要なデータを生成できるようになります。

また、シナリオを変更してDRMから結果を生成することもできますが、外部ツールに接続することで、より簡単に自動化できます。モデルベースシステムズエンジニアリングソフトウェアのAnsys ModelCenterやカスタムスクリプトは、DRMに対するトレードオフ分析を自動化して実行するための代表的なツールです。データを生成した後、問題に最適なMLアプローチを実施して検討するステップに進みます。

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デジタルミッションエンジニアリングソフトウェアであるAnsys Systems Tool Kit(STK)を使用して、MLモデルのトレーニング用データを生成するためのワークフロー

機械学習パイプラインの実装方法

ML開発ライフサイクルは反復的なプロセスです。このプロセスの大部分を占めるのが、以下のステップを含むパイプラインの実装です。

  1. データの取り込みと事前処理。
  2. データ解析と調査。これは、生成したデータセットを理解するためのステップです。具体的には、このデータが問題をどの程度適切に表現しているかを理解する必要があります。
  3. データの準備。このステップでは、データをトレーニング用およびモデル評価用のフォーマットに変換するための事前処理を実行します。たとえば、データをトレーニングセット、テストセット、検証セットに分割したり、ROMを実行したりします。
  4. モデルの選択、トレーニング、評価。

ワークフローの実証

STKとMLを組み合わせることで、さらに高度なミッション解析を実行できるようになります。ここでは、先ほど説明したアプローチに関する研究をご紹介します。2023年と2024年のAIAA SciTech Forumsにおいて、私たちは「Electro-Optical Fiducial Markers on Satellites for Identification and Characterization」「Characterization and Classification of Low-Resolution LEO and GEO Satellites with Electro-Optical Fiducial Markers」という研究を発表しました。

これらの実験では、STKを使用してミッションをシミュレーションし、データセットを設計しました。衛星本体上に設定した一意のスペクトルマーカーである光学基準マーカーを、隣接する衛星や地上から検出して、その特性評価を行えるかをテストしようと考えました。MLモデルで、マーカーの存在を識別できるか確認をするためです。各アセットのカメラシステムをモデル化し、STKでデータを自動生成しました。その後の作業では、カメラの解像度を下げ、対象となる衛星の画像を撮影することで、問題をさらに高度にさせ、どの程度まで劣化させた画像を扱えるのか、ML分類器モデルの限界の確認も行いました。

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2024年の研究におけるSTKのシナリオビュー。左の画像では、SOI_LEOは濃いピンク色、観測衛星は青緑色で示されている。右の画像では、SOI_GEOは緑色、観測衛星の軌道ステージがオレンジ色、黄色、赤色で示されている。

どちらの研究でも、MLパイプラインを使用したデータ生成プロセスに従いました。最初にデータの取り込みと事前処理を行い、データ調査と初期解析を実行し、データを準備して、モデルのトレーニングと評価を行いました。

次のステップへ

研究の結果、シミュレーションとMLのコラボレーションによって解析を大幅に改善できることが示されました。私たちは、このワークフローと研究が、STKを使用してミッションをモデル化し、MLモデルをトレーニングするためのデータセットの生成を検討するきっかけになることを願っています。

デジタルミッションエンジニアリングを今すぐ始めましょう。また、8月6日から8日にアラバマ州ハンツビルで開催されるSpace & Missile Defense Symposiumに是非ご参加ください。


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novarah-kazmi-policht
Senior Application Engineer

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Principal R&D Engineer

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